「収入が増えなくても可処分所得を増やす方法」 

家計改善の「実践的」且つ「正攻法」の方法を紹介して行きます。

「収入が増えなくても可処分所得を増やす方法」 - 節税編 

 

固定費削減が定期的に発生する費用を減らすことで、可処分所得の増加に繋がるのに対して、節税は収入に対して掛かる税金の額を減らすことによって、可処分所得の増加をもたらす方法です。

 

■日本の税制の基本的な仕組み

節税について理解するために、日本の税制の仕組みの基本について説明します。

 

  • 所得税は「総合課税」と「分離課税」

総合課税:1年間に納税者が得た所得を合計して課税対象とする方法

分離課税:他の所得の合計しないで、独自の税率を使用して税額を決める方法

 

「総合課税」と「分離課税」は以下の所得について適応されます。

総合課税

分離課税

給与所得

事業所得

不動産所得

一時所得

雑所得

譲渡所得(土地建物、株式等譲渡以外)

配当所得

利子所得

退職所得

山林所得

土地建物、株式等譲渡による譲渡所得

事業所得(一部)

一時所得(一部)

雑所得(一部)

配当所得

利子所得

 

給与所得や不動産所得(家賃等)は総合課税となり、退職所得(退職金等)や土地建物等を売却した場合の譲渡所得等は分離課税となっていることが分かります。両方に記載されている所得については総合課税の場合も、分離課税の場合もあるということです。

 

  • 総合課税は累進課税で所得が増えれば増える程税率が上がる

「総合課税」は「累進課税」となっており、所得が増えれば増える程税率が上がる仕組みとなっています。所得額ごとの税額は以下の通りです。

 

課税される所得金額

税率

控除額

195万円以下

5%

0円

195万円~330万円以下

10%

97,500円

330万円~695万円以下

20%

427,500円

695万円~900万円以下

23%

636,000円

900万円~1,800万円以下

33%

1,536,000円

1,800万円~4,000万円以下

40%

2,796,000円

4,000万円超

45%

4,796,000円

国税庁サイト

税額の計算方法ですが、例えば、「課税される所得金額」が500万円の場合には、控除額の427,500円を引いた4,572,500円に対して、20%の914,500円が税額となります。

 

「課税される所得金額」は収入ではなく、収入から後述の「所得控除」を引いた額になります。年収や年商がそのまま「課税される所得金額」になる訳ではありません。

 

  • 住民税は原則一律10%

住民税は「均等割」と「所得割」に分かれます。

 

均等割:全ての住民一律に、定額の税金を課す方法

所得割:住民の所得に応じて税金を課す方法 標準税率は10%*

*自治体によって異なる可能性あり

 

■「所得控除」の活用が節税のポイント

上記でご説明した日本の税制の特徴を踏まえて、節税に有効な方法は課税される「所得金額」を「所得控除」によって減らすこと、になります。

 

  • 所得控除とは

一定の要件に該当する場合に、所得の合計金額から一定の金額を引くことが出来る制度です。所得税額は大まかには「(収入 - 経費 - 所得控除)× 税率)になりますので、所得控除が大きければ大きい程税額は低くなります。

 

特に会社員の方は経費の計上で課税される所得額を減らすことは困難ですので、所得控除を活用することが主な可能な節税策となります。

 

また、所得控除については、こちらのページに記載されているものが対象となります。

 

  • 意識すべき所得控除は限られている

上記のページに記載されている所得控除の数は多いですが、大半のものは会社員の方であれば会社に申請している配偶者の収入や家族の扶養状況に応じて自動的に反映されているものが殆どで、自営業の方でも確定申告の際に申告することで反映されるものが殆どです。

 

主に意識すべき所得控除は以下となります。

 

・「社会保険料控除」

iDeCoの制度を有効活用しているか

 

・「医療費控除」

→世帯でかかっている医療費を記録しているか、確定申告で漏れなく申告しているか

 

・「生命保険料控除」

→年末調整もしくは確定申告で漏れなく申告しているか、控除枠を有効に活用しているか

 

この3つの控除に加えて、所得控除ではないですが「ふるさと納税」の制度を有効活用することが一般的に可能な主な節税策になります。

 

■固定費削減は収入が増えても効果は一定、節税は収入が増えると効果が増大

例えばですが、1か月1万円の固定費削減した場合、年間所得が500万円でも1,000万円でも月1万円が削減されるという効果は変わりません。

 

一方節税の場合は、ご説明した通り総合課税対象の所得は累進課税=所得が上がるほど税率が上がる」ため、所得控除10万円の効果は年間所得500万円の場合は2万円なのに対して、年間所得1,000万円の場合は3.3万円となります。

 

総合課税対象の所得については、所得控除による節税は、所得が増える程効果が増大するため、所得が増えれば増える程、実施を検討するべきという話になります。