「収入が増えなくても可処分所得を増やす方法」 

家計改善の「実践的」且つ「正攻法」の方法を紹介して行きます。

固定費削減具体編⑨ 住居費

■取り組む内容:持ち家未購入の場合のを購入の是非の精査

■1年間の費用削減期待額:∞(無限大)

■取り組み優先度:★★★★★(★5つが最高)

■ポイント:「マイホーム」は持つもの、との観点を一旦忘れ持ち家が必要がどうかを検討

 

■賃貸か?持ち家か?の議論は尽きない

「賃貸か?持ち家か?」については、ポジショントークと思わしきものを含めて喧々諤々の議論が繰り返されています。

 

ポイントとしては、賃貸は生活スタイルやライフステージの変化に柔軟に対応可能な一方、継続的に家賃が発生し、特に収入が減少する老後には家賃負担が重くなる、もしくは賃貸することそのものが困難になる懸念があるとされます。

 

一方、持ち家はローンは長期に抱えることにはなるものの、自身の希望に応じたカスタマイズを実施可能で、住宅ローン返済後は資産となり、老後に家賃負担がないことがメリットとされます。

 

■持ち家を保有することのリスクには留意

賃貸と持ち家どちらが良いかは個々の事情によるところが大きいので一概には言えませんが、持ち家を保有することのリスクには留意が必要です。

 

  • 持ち家保有のリスク① - ライフステージの変化への機動的対応が困難

まず、ライフステージの変化(転勤、子供が生まれる、子供が家を離れる、夫婦のどちらかが先に亡くなる等)に持ち家は機動的に対応することが困難です。

 

今必要な家と20年後に必要な家は違うはずで、継続的に同じ家に住む需要がある場合の方が少ないのではないでしょうか。ライフステージ変化への対応という意味では持ち家保有は柔軟性には欠ける選択肢となります。

 

  • 持ち家保有のリスク② - 資産になるとは限らない

また、持ち家が資産になるとの点も、将来資産になることが保障されているわけではありません。資産となる(売却や賃貸が可能)かどうかは確定したものではなく、あくまで今後のマクロ・ミクロの環境によって決まります。

 

資産価値がある住居(特にマンション)を一定期間毎に買い替えれば資産形成が出来るといった意見もありますが、投資の話ですので、過去可能だったことは将来も可能であることを意味しません。今までうまくいった=これからうまくいくではないのです。

 

  • 持ち家保有のリスク③ - 住宅ローン利用の場合の金利上昇による返済負担上昇

持ち家を保有している方のかなりの割合の方が住宅ローンを利用されていると思いますが、変動金利で借り入れをされている場合には、金利が上昇した場合に返済負担上昇もリスクとなります。現状は低金利でローンは組めていても、将来の経済市場環境は予測不可で、何が起きるかは分かりません。

 

持ち家保有のリスク④ - 持ち家が賃貸に比べて金銭的に有利とは限らない

最後に、持ち家が賃貸に比べて金銭的に有利といった試算がなされることが少なくないですが、この議論には注意が必要です。

 

  • 持ち家と賃貸の住居費の仕組み

持ち家と賃貸の住居費の仕組みはそれぞれ以下となります。

 

持ち家の住居費

頭金 + 購入時の諸費用 + 住宅ローン返済額 +(年間の管理費・修繕積立金・固定資産税)X居住年数 + リフォーム費用

 

賃貸の住居費

賃貸契約に関わる敷金・礼金等費用 + (年間の家賃・管理費)X居住年数 + 契約更新料

 

  • ローン返済が終わった後なら持ち家の住居費は低下

通常下線部分(持ち家であれば住宅ローン返済額、賃貸であれば年間の家賃・管理費等)が金額が一番大きい部分ですが、持ち家の場合住宅ローンの返済が終わった後がこの部分がなくなりますので、その後の住居費は低下します。

 

  • ローン返済終了を前提にすれば持ち家の住居費が長期では有利なのは当たり前

一方、賃貸の場合継続的に家賃等が発生しますので、住んでいる限り住居費はほぼ横ばいとなります(下線部分がなくなることがない)。よって、長い期間のシュミレーションにすればするほど、持ち家のコストが有利との結果になります。「持ち家が賃貸に比べて金銭的に有利」というのは期間を長くとれば当たり前の話です。

 

  • 50年住むことを前提に持ち家が有利などという計算は無意味

一方、30代~40代で購入した持ち家に50年も住むことは現実的ではありません。家族構成も結婚、お子様の誕生、お子様との同居の解消、老齢の親御さんとの同居等、同じ家では対応しきれない変化が将来あることが一般的です。同じ家に40-50年住まないのではれば、持ち家が賃貸に比べて金銭的に有利といったシュミレーションは机上の空論と言ってよいでしょう。

 

■社宅が利用できる場合は金銭的に有利で持ち家を持たない選択肢も

賃貸住宅でも社宅が使用可能な場合には大きなメリットが発生します。

 

会社都合の転勤の場合には初期費用も含めて会社負担となる場合も多く、家賃も補助が出れば金銭上大きなメリットが出ますし、仮に家賃補助なしの会社契約での賃貸の場合でも節税(課税所得額の減少)メリットが生じます。

 

転居が多い、もしくは会社契約の住宅に住める方は制度を利用されることのメリットは大きく、このような制度が利用可能な方にとっては敢えて持ち家を持たないという選択肢も検討に値します。

 

■持ち家保有するかしないかに関わらず老後の住まいに関する備えは必要

持ち家があるかどうか(住居費をどの程度老後に払う必要があるか)によって老後に必要なお金の金額は大きく変化します。

 

持ち家で住宅ローンも完済していれば維持費等を除けば老後の住宅費は低く抑えられるのでやはり、持ち家は持つべきという考えもありますし、総人口の減少で空き家も増えるので、そもそも賃貸で低コストで住居は確保できるという予想に基づいて特に持ち家はいらないとの判断をすることも出来ます。

 

管理人個人としては後者の考えに近いですが、将来を予測する能力はないのでここではどちらが良いという断定的な表現は避けさせていただきます。

 

■管理人はどうしてるの?

以前、マンションを区分保有で所有していたこともありましたが、売却済みで現在は賃貸住宅住まいです。会社契約なので、前述の節税効果は得られており、現在敢えて持ち家を購入する必要はないと考えています。老後の住まいについてはどこかで持ち家を買うかどうかの判断は迫られると思っています。

 

■世間の情報に惑わされずに、家を所有することを当然と考えないことからスタートを

家を購入することは否定はしませんが、住宅を販売することを生業とする方のバイアスがかかった意見が多く世間に流布されていると感じますので、家を所有することを当然と考えないことから持ち家の購入の是非を検討することをお勧めいたします。